サポニンとは植物に含まれる配糖体の内、界面活性作用を持つものの総称で発泡作用と乳化作用が特色です。非糖部のサポゲニンと糖分との結合した配糖体で、非糖部のサポゲニンはトリテルベノイド系とステロイド系及びステロイド・アルカロイド系に区分されます。

サポニンは好気・嫌気性微生物の活性助剤であるため、排水の生物処理はもちろん、土壌処理やスラッジ処理にまで幅広く利用されています。

●サポニンを多く含む代表的な植物

  • ダイズサポニン
  • ユリ科サボテンサポニン(中南米)
  • キラヤサポニン(チリ、ボリビア、ペルー)
  • ユッカサポニン(北米、メキシコ)
  • アロエサポニン(アフリカ、中国、日本、メキシコ)

●アロエサポニンはアロエから抽出されたサポニンで、アロエには、

  • キュラソーアロエ(西インド諸島)
  • メキシカンアロエ(中南米)
  • アロエベラ(中南米)
  • キダチアロエ(中国、日本)
  • ケープアロエ(アフリカ)

などの種類があり、そのうち日本薬局方に指定されている漢方薬サポニンはケープアロエだけです。


▲ケープアロエ

ケープアロエから抽出されたアロエサポニンを主成分とするベストエイドは、生物処理の場合、貯留槽または調整槽などに、最終、数g/m3から、数10g/m3の濃度で添付し、連続投入から一週間後に一回程度の割合で投入します。浄化槽の場合は、撹拌が不十分なため、なるべく多量の水で希釈したものを投入します。泡の発生には注意が必要で、この場合は、さらに低濃度使用にするか、添加を一時停止してみることも必要です。余剰汚泥量が減少するので、SV30なり、沈降汚泥レベル管理には注意して下さい。約1週間くらいから効果が表れますが、1ヶ月くらいは注意して投入して下さい。

ベストエイドはラグーン処理から排水路の閉そく防止まで幅広く利用できます。余剰汚泥発生量の1/3〜1/4までの原料、浄化槽内のスカム溶解や発生の防止などにも使用でき、3〜4ヶ月間の使用で明確な結果が得られるでしょう。

サポニンを無害な表面活性剤と考えれば、化学消臭剤や殺菌剤などとの併用で、脱臭剤としての利用もできます。ストレス緩和作用は、重要なサポニンの性質であり、アロエの水抽出物中のキペノサイド・サポニンは、神経性ストレスに対する坑ストレス作用もあるようで、この作用は、微生物、植物や高等生物にまで広く表れます。排水水質変動の激しいときとか、有害物質、毒性物質の混入が考えられるとき、製造品目の変更時などに意識的に、ベストエイドを利用するのも一案です。

排水の土壌浄化法のごとく、微生物環境変動の激しい場合も、サポニンの浸透性、湿潤性に加えて、ストレス緩和作用は有効であると考えられます。したがって土壌処理とか、コンポスト関係への応用では、ベストエイド10%水溶液として、2〜3ml/m3くらいの割合で、この希釈液を散布します。

植物生長を目的とした土壌処理の場合は、各シーズンの初期に1回程度の利用でも効果が表れます。

コンポスト化で、堆積法の場合は、一時発酵のとき、1〜2週間に1回程度で散布します。ベストエイドを5〜20g/m3くらいの割合で、水希釈液を均一に混入します。


1)浄化槽に投入の場合
流入原水1キロリットル当りサポニン原液30ccを基準とします。
投入量=40キロリットル×30cc×10−3≒1リットル/日

効果予測

  1. 固形有機物の分解や可溶化が早まります。
  2. 酸生成菌やメタン細菌群の活性化を促進して、有機物質の分解液化過程の進行を早めます。
  3. 嫌気分解中に発生する悪臭成分を水中に溶解させて、大気中への放散を防止すると共に微生物による悪臭成分の分解を早めます。
  4. アルカリ醗酵期でのガス生成量(メタンetc)を増加させて、消化日数の大巾な短縮を可能にします。
  5. 特にメタンガスの生成量を20〜30%以上増加させて、加温エネルギーの消費量を減少させます。

2)曝気槽への投入
サポニン原液を1リットル/日投入します。

効果予測

  1. 浄化槽での分解が促進されるために曝気槽への有機物負荷量が大巾に減少します。
  2. 好気性微生物の優先遷移が進行され、原生動物(鞭毛虫、繊毛虫)が多くなり、活性汚泥処理能力がアップするだけでなくバルキング現象が生じません。
  3. 溶存酸素(DO)が有効に活用されるため、槽内MLSS濃度を上げる事ができます。
  4. 固液分離が容易になるためSV値が安定します。
  5. 余剰汚泥量が減少します。
  6. 運転管理が容易になり、かつ臭気が大巾に低下するので環境良化が大きく期待できます。